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イマジナリーガーゴイル=サン×ヘルカイトの文章
これからヘルカイト受けの本を出す予定なのですが、それの中に収録する漫画の原案みたいなものです。
(普段1コマかいては次の1コマ考えるような塩梅なので別のやり方を試しています)

イマガゴがヘルカイト好きすぎたり若干の痛覚描写だ。



「ケジメ案件だ!全くもってケジメ案件だな!スズメ!お前もそう思うだろ?」

嬉しそうな声も隠す気配もなくガーゴイルはそう告げた。喜色満面。その様子がガスマスク型メンポごしにダイレクトに伝わってくる。対するスズメ呼ばわりされたニンジャ…ヘルカイトはやはりメンポ越しでもわかるほどに苦虫を噛み潰したような顔でうつむいている。

片付いていない部屋の床には零れたチャ。当然のようにガーゴイルが煎れてくるように命じ、そして当然のように運ぶ途中で気配を消しながら足払いをかけて零させたものだった。気配を消しては嫌がらせをしてくることがチャメシ・インシデントであるガーゴイルの前で警戒を怠ったのはヘルカイトのウカツであろう。だが当然、そんなことでそこまでの責任を取らされる謂れなどない!

「そんな、馬鹿げたこと!」
「つまりお前はそうは思わない、と」
「エグザクトリー!」

怒りの滲んだ反論にガーゴイルは満足感を覚える。この普段は慇懃無礼な格下のニンジャが見せるそういった感情の揺らぎはしばしば彼に高揚感と酩酊感をもたらしてくれる。実際かなりズバリめいた働きかけをするのだ。アーイイ!

「おいおい!いくら温厚な俺でもそのものの言い方はいただけねぇなあ?それに考えてみろよ。お前がケジメするとなって困るやつはどれだけいる?で、逆に喜びそうなやつは?」

立身出世に邁進してきたヘルカイトにとって余りにも痛いところを突かれた形だ。実際彼の敵は多い…ポストシックスゲイツ達の中では特に。その気になればこんな案件であっても本気でケジメを成立させてしまえるのではないか!?

(((最低のクズ野郎が…!)))

まさに目から血の涙を流さんほどの屈辱!目の前の男に対して湧き出す殺意がニューロンを駆け巡る!

「まあでも困るやつが一人だけいるんだよな!せいぜいソイツに感謝しろよスズメ。今回ケジメはナシだ」
「え」

喉の奥で転がすが如く下卑た声で笑うガーゴイル。アーイイ!実に満足げなアトモスフィア。ヘルカイトの敵意だけ堪能できればいいのとでもいうのだろうか?まさか!

「イヤーッ!」「グワーッ!」

張りつめたアトモスフィアが抜けた直後の出来事だった。ガーゴイルの右掌に乗せられているそれは…ナムサン!ヘルカイトの右手の薬指の爪である!一瞬の気の緩みをつき、常人の三倍のスピードでその爪を引き抜いたのだ!ワザマエ!

「これで勘弁してやる。さ、もうひとつは自分で差し出せ」
「ウウ…」
「スズメはやれば出来る子だよなぁ?俺を失望させたりしないよなぁ?」

痛みと恐怖でカチカチと奥歯を鳴らす様子をガーゴイルのニンジャ視覚とニンジャ聴覚が捉える。ヘルカイトは剥がれた薬指痕から流れる血を大雑把に服でぬぐい、痛々しく震えるその右手を左手薬指に添えた。

「やれ」

無慈悲な声。…ブチリという音以外フラットな時間。彼は無言で自らの左手薬指の爪を全くの無言で引き抜いたのだ。

「…オオサメクダサイ」
「ドーモ」

新鮮な血液が付着している献上された爪を手元で弄ぶ。掌に血の跡が伸びる。

「もういいから下がれ。チャはそのうち乾くからいい。ちゃんと殺菌しろよスズメ」
「……」

白けたような声で退室を命じられたヘルカイトは背を向けた。最後に一礼をし、無言でフスマを閉める。どちらかといえばシツレイだ。だが、ガーゴイルはそれを咎めない。ヘルカイトの気配が消えると、先ほどから隠すのに必死だった満開の喜色を解き放った。

「アーイイ…やっぱイイよお前」

無言での自傷中、メンポの隙間から見える唇が噛みしめられて真っ白になっていたこと。微かに歯ぎしりの音が聞こえたこと。引き抜いた後の痛みに耐えながら呼吸を荒くしていたこと。退室が無言だったのはそれを悟らせないためだったこと。そして全てを隠しおおせたと思って、それだけを最後に残った自尊心としたこと。

しばらくその様子をだらしない顔で反芻していたガーゴイルだったが、手元の剥がれたツメにふと、思い至った。コイツをどうするか。

(((記念にとっておくか…いやしかし、失くしたら元も子もない)))

しばし思索したのち、メンポを外し無造作に爪を口の中に放り込んだ。咀嚼。消費はしてしまうがどこか部屋の隅にやってしまうよりは良いだろう。鉄の味。

(((そういえば噛みしめられた唇から血が出てはいなかったか。あれも同じ味がしたのだろうか。確かめればよかった)))

なんとも言い難い幸福感を噛みしめながら彼は丁寧に咀嚼を続けた。

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